病①

病はどこからも来はせぬ。ただ己が体に生ずるのみ。
目に見えぬ小さき物―細菌、ウイルス、花粉、塵などの類に恐怖するは、畢竟徒労に終わる。第一に、隣人を見るがよい。きっと平気な者が居るはずである。第二に、完全には防げぬし、消せもせぬ。
病はどこからも来はせぬ。ただ己が体に難あるのみ。


生には経歴があるように病にも経緯がある。小事より大事は起こる。
安易なる処置―抑制、除去などの類に頼るは、結句小事を大事にする。第一に、その経緯は取り消せぬ。止まぬ雨は無きも、覆水は盆に返らざることを知るべし。第二に、己を欺いたに過ぎぬ。隠蔽、一時しのぎである。自ずから癒ゆるための策を講じ、それを待つべし。
生には経歴があるように病にも経緯がある。なによりも経緯を知ることが肝要である。

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