多くの人々の家庭はたのしい棲家よりも、私にはむしろ牢獄という感じがする。そしてなぜ耐乏が美徳であるかと同じように、この陰惨な家庭に就ても、人々は、それが美徳であり、その陰鬱さに堪え、むしろ暗さの中に楽しみを見出すことが人生の大事であるという風に馴らされてきた。ただ「馴らされてきた」のだとしか思うことができなかった。
坂口安吾『日本論』Ⅱ・欲望についてより
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