DP2M-110

SDIM0160

 一緒に生活する人間の間の平和状態は、なんら自然状態ではない。自然状態は、むしろ戦争状態である。言いかえれば、それはたとえ敵対行為がつねに生じている状態ではないにしても、敵対行為によってたえず脅かされている状態である。それゆえ、平和状態は、創設されなければならない。なぜなら、敵対行為がなされていないとうことは、まだ平和状態の保障ではないし、また隣りあっているひとの一方が他方に平和状態の保障を求めたのに、他方から保障が与えられない場合は(こうした保障は、法的状態の下でのみ生ずることができるのであるが)、かれはこの他方の隣人を敵として扱うことができるからである。
 カント『永遠平和のために』第二章より

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