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相宿の旅人が熱病で惱むとて療治を賴まれ、其の脈を取れば運よく全快したが、實は僕が治したんぢやアねえ、ひとりでに治つたんだが、運に叶つて忽ちにあれは名人だ名醫だとの評が立ち、あつちこつちから療治を賴まれ、實はいゝ加減にやつてはゐるが、相應に藥禮をよこすから、足を留めてゐたものゝ實は己ア醫者は出來ねえのだ、尤も傷寒論の一冊位は讀んだ事は有るが・・・
 三遊亭圓朝『牡丹灯籠』より

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