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『新選組血風録』、「池田屋異聞」-いざ勝負となると相手を食い殺したいほどの異常な闘争心をわかせる山崎蒸を主役に描いたもの-と解説にある。

本文に「山崎は相手の不遜の態度をはねかえすだけの言葉を知らない。(この男、いつか殺してやる)ただ、そう思いさだめた。」という一場面がある。

さらに池田屋異聞のなかで、山崎の剣には品がないと師匠が評するが、後に副長助勤にまでなる男である。

剣術さながらに、どれほど品性に欠けようともきらいにはなれない。

むしろ、見るからに陰険で、悪党で、いい。

もっと吐き捨てるべき無神経で節操のない人間は、善人面をするのが上手いから。

そうしたところで今の世の中、「いつか殺してやる。」と思い定められているとは、きっと思っていないだろうし。