10代の時には、花になんの感動もなく、目にとまることはかったけれども、30前後から、おのずと目がいくようになった。
鎌倉に向かう道々、こんなにあったのかと思うくらい、梅の木の多さに、実に驚かされる。
カメラを持っているから、だけではない。感傷的になったのでもない。
残酷さ、若さの象徴、これがいくぶんやわらいだから。弱さ、老いの真実、これが少しわかってきたから。
ただ見聞を以て知ったのでなく、確かにこの身を以て感ずるのである。
けれども、それを受け入れたわけではない。それどころか、おおいに抵抗している。
なにしろ、まだ、若いのだ。
忍耐、我慢、辛抱、諦め、断念、そして未練、心残り、ああ、葛藤は深まるばかり。
老い、もまた、残酷。