◆2025/03/25 50歳女性
■住所
鎌倉市
■初診日
2004/05/27
対談:なぜ20年も通い続けるのか―その先にあるものとは
◆通い始めたきっかけ
Y(吉岡):本日は、当院に長年通われているAさんにお話をうかがいます。よろしくお願いします。さっそくですが最初に当院にお見えになったきっかけを教えてください。
A:私は30代の頃、とにかくあらゆる体調不良に悩まされていました。うつ状態、吐き気、倦怠感、めまい、食欲不振、手足の強い冷え、パニック障害が主なものでした。病院に行って薬を処方されてもまったくよくならず、食養生やハーブなどに興味を持ち始めました。しかし、ネットで収集した情報を自己流で実施していたので、納得できる明確な効果は得られませんでした。
次に思いついたのが鍼灸でした。それまでにも鍼灸の施術を受けたことはありました。確かにその時は少しよくなったような気はするのですが、一時的で、残念ながら通い続けたいと思えるほどの治療を受けたことはありませんでした。
今度こそは私に合う鍼灸院を見つけようと一念発起し、条件を考えました。
・明確な効果を感じられる
・優しい先生
・話をきちんと聞いてくれる
それでインターネットで検索したところ、出てきたのが吉岡鍼灸院でした。
それが2004年だったかと思います。初めての治療であまりの切れ味に感動して、私は一生この先生のところに通うのだ、と決心したのを覚えています。
◆鍼灸治療に感じた手ごたえ
Y:ありがとうございます。「切れ味」とは具体的にはどのようなものでしょうか。
A:とにかくその場で改善するのです。私は1年のうち360日具合が悪いというような体調で、とにかく吐き気にいつも悩まされていました。それが、その場で気持ち悪さが取れたのです。
Y:治療の翌日に効果が出る場合もありますが、その場で感じられたのはよかったです。
A:はい。それまでは「こんな体では人と会う約束をしても直前でお断りしなければならないし、家事と育児と仕事をするのは無理。薬も効かない。一体どうしたらほかの人と同じように生きられるのか」と絶望していました。
ある時は、仕事でストレスと疲労が限界まで蓄積され、口もきけないほどで予約もキャンセルしようかと思いましたが、吉岡先生に「それはつらいですね。ここまで来てもらえたら何とかします」と言っていただいて、意を決して鍼灸院に向かいました。
治療室に入ったとき、私は口をきける状態ではなかったため、吉岡先生は問診もそこそこに脈だけを診て治療を始めてくださいました。最初は腕に鍼をしていただいたのですが、それだけでスッと嫌な感じが引いていき、口をきけるようになったのです。ベッドに横たわって1分も経っていなかったと思います。
Y:そんなこともあったでしょうか。そうですね、ご自身で今言われたように、あの頃のAさんは、ありきたりな言い方になりますが、心身ともに疲れ果てて、ちょっとしたことでも過敏に反応してしまうような状態だったと思います。もちろん、無理もききませんし、何かすればすぐに動けなくなるような、とてもしんどかったでしょうね。今では考えられませんが、往診のこともかなり多かったですしね。
A:その後も、夜中に突然の腹痛に襲われ病院で救急診療を受け、痛み止めの点滴をしてもらったことがありました。しかし驚くことにその痛み止めがまったく効きませんでした。結局、明け方になっても昼になっても痛みは消えず、でも検査ではなにも悪いところがないため、帰宅するよう言われました。会計を待っている間に突然痛みは引き始めましたが、帰宅してもなんとなく痛かったり気分が悪かったりしたので、吉岡先生に往診をお願いしました。「病院では腹痛の原因はわからず、痛み止めの点滴も効かなかったのです」とお伝えしたところ、「そうでしょうね」とおっしゃって治療してくださり、終わるころにはかなりよくなっていました。
あれは、どういうことなのでしょうね(笑)。
Y:あの時は、さいわいにも特別な異常が認められなかったわけですからね。こうした病名のつかない不調のほとんどは、鍼灸の範囲となります。私が思うに、「なにかあったらまず鍼灸」ですね。それでも難しい、おかしいと判断したら躊躇なく病院に行っていただきます。
◆がんの可能性
A:以前は、具合が悪くなったら予約を入れるという通い方をして、それでも毎回効果を得られていたので満足していました。
しかし2020年頃、婦人科の検査で異形成が見つかりました。がんになる可能性がある状態ということで、家族歴もあったため非常に心配になり吉岡先生に相談しました。
すると「Aさん、ここからはちゃんと治療をしましょう。週1回、通ってください。それで様子を見ましょう」とご提案いただきました。普段、私が自分の不調について過度に心配しているときでも「大丈夫ですよ」とおっしゃる先生が週1回の通院を勧めるということは、本当にその必要があるのだろうと理解し、そこから週1回の通院が始まりました。
その結果、半年後の再検査で異形成はなくなっていました。
Y:脈診の結果からそう心配はしていませんでした。もし痩人のAさんが肥人の脈になっていたら私は青ざめていましたよ。ただ、念には念を入れたく、週1回の通院をお勧めしました。それは当時の仕事の多忙さや実際に組織の変成も認められた事実を考慮した提案でした。結果として半年で異形成がなくなったので安心しました。
◆予想外の変化
Y:治療を週1回にしてから何か変わったことはほかにもありましたか。
A:後から気付いたことですが、手足の冷えがなくなっていました。
また、20年以上パニック発作で避けていた飛行機に乗ることができました。このときは、万が一機内で発作が起こりそうになった場合の対応方法を事前に先生に教えていただいて、万全の準備をして搭乗しましたが、結局、なにも起こらず無事に羽田と米国西海岸との往復を完遂しました。
ほかにも食事がとれるようになり、常に吐き気と戦う毎日は終わりました。もちろん友人ともランチの約束ができるようになりました。もちろん、今でも無理をしたり、ストレスしたあとには食欲が落ちたり、お腹がはったりもしますが、以前ほどではありません。
生活や状況の変化による影響もあったと思いますが、それだけではここまで変わることはなかったと思います。むしろ、仕事面で言えば会社員になりより多忙だったかもしれません。異形成もみつかったわけですし。明確になにかが治ったというわけではありませんが、こうした状況にあって「全体としてなんとなくよくなっている」と感じます。
Y:鍼灸も個別の症状にも対応しますが、基本的には全体の状態を整える治療、よく言われる「生の根本」である「気」をめぐらす治療をします。その結果、いろいろなお悩みが解決されたことは大変うれしく思います。
来院頻度のばらつきはあるものの、長年通院されたことで、こうした多忙な状況にあっても「全体としてなんとなくよくなった」と感じられるということは、とてもよかったです。重要な点は、明確になにかが治ったかどうかよりも「全体によくなっている」こと、そして、それが一時的でも一方的でもないということです。寒暖差がはげしいほどこたえるように、体調の上下の落差が大きいままではよいとは言えませんから、変化の指標として落差が小さくなることは不可欠です。そして、上がさらに上がるのではなく、下が底上げされるということが確認されてはじめて全体としてあがったという判断ができるのです。スーパーマンを生みだすこと、蓄積された疲労を感じさせないことは決してよいことではありません。その場でとれる症状もありますが、今ある症状をごまかすのではなく、根本から体を整えるということが大切です。もちろんお困りのなにかが治ることも重要ですが、それはこうした全体の底上げの先にあることの方が多く、そういう意味でも、この間の変化はよいのです。
A:私は当初、即効性を期待して通院しました。その期待には十分応えていただいていますが、長期的な目で見た変化もしっかりと感じられました。
◆当院はなにが違ったのか
Y:では、通い続けようと思った当院の長所はどんなものでしたか。
A:まずは、話を聞いてくださること。病院やクリニックでは、長々とした自分の説明は嫌われる傾向があると感じました。また、様々な症状があることを伝えたいのに、今回の主訴は症状Aなので、症状Bについては除外というか検討対象に入れない、というようなことを言われたこともあります。
一方、吉岡先生からは「些細なことでも、気になることはなるべくお伝えください」と言われました。これは大変ありがたかったです。
Y:鍼灸の診察は、患者さんが治療室に足を踏み入れたところから始まっています。顔色、服装、話し方、声の高さ、皮膚の色や状態、姿勢、動きなど見えるすべてを観察し、主な症状や周辺の状態、生活全般のことを聞き、さらに脈を診て診断します。なので症状の多寡を問いませんし、本人が一見関係ないと思っているようなことが重要な意味を持つことも少なくありません。余談雑談の中にすらです。どれも全体の一部、つまり、そのすべてがその人を現していますから、不要なことなどひとつもないのです。診察で得たすべてをうまく一本の筋書きにまとめられるかが診断と言えるでしょう。
A:あとは、鍼を刺さないことです。これは声を大にしてお伝えしたい!(笑)
鍼管を使ってトントンと鍼を体に刺す治療法を他院では受けていました。概ね問題ないのですが、時々ちくっとした痛みを感じることがあり、それが私は苦手でした。しかし吉岡先生の治療では鍼を当てるだけなので、そのストレスが皆無です。
Y:当院の接触鍼は井上系経絡治療の特徴のひとつでもあります。痛くないことを大切にしています。
A:まだ幼稚園生だった息子もよくお世話になりました。
また、しっかりと脈診をしていただけるので、毎回「今日の脈はどうですか」とお尋ねするのも楽しみの一つになりました。それで自分が気付かないうちに無茶をしていたとか、自分では体調が悪くて絶望的な気分になっていたけれど、実際にはそれほど悪いわけではなく回復可能であるとか、そういう現状把握ができるのも大きな特徴だと思います。
◆治療対象の違い
Y:当院に通って体調以外にも変わったことはありましたか。
A:病院やクリニックに行くことが激減しましたね。
私は現代医学の世界で生きてきました。製薬会社の営業職、医薬分野の翻訳業、治験業務のアシスタント、がんゲノム検査会社での顧客対応業務を経験し、現代医学のすばらしさは身をもって感じています。
一方で、そこからこぼれ落ちてしまう人もいます。私はまさにそのタイプですが、薬が効かない不調を抱えて長年苦しんでいました。検査しても異常がなく治療の対象にならないのです。
ですが、経絡治療では陰陽五行のバランスの崩れを治療の対象としていること、また生きている人間は必ずそのバランスに偏りが生じるもので、つまりすべての人の治療ができる。そして、偏りがないのは死んでいるも同然だというお話を聞いたことがあります。
そうであれば、経絡治療の対象から零れ落ちる人はいないということになります。効果が出るかどうかは別として、最初から「異常がないのでお帰りください」とはならないですよね。
Y:はい、よく覚えていらっしゃいますね。さすがですね。
A:日常的なバランスの偏りは日頃から自分で調整できる部分があると思っています。可能な限り、夜更かしせず、偏食や過食をさけ、ストレスをためないといった基本的なことですね。
◆自分の手入れの方法は人それぞれ
Y:しかしながら、皆さんはお忙しい毎日を送っていますから、なかなかそのような気配りを自分に対してできないのが現実です。
A:私自身もそうです。いまだに夜更かしをしてしまいますし、ストレスで食生活が乱れます。ですから、少なくとも自分の体の声に耳を傾け、おかしいなと思ったら早めに誰かの力を借りて崩れたバランスを修正する。それは経絡治療に限らないと思いますが、私の場合は経絡治療が合っていたということですね。
Y:自分の体の主導権を他者に丸投げするのではなく、自分で握る。どう生きてどう死ぬか。それを他者に委ねるのではなく自分で主導するという視点が大切です。責任をもって生きると言えばよいでしょうか。
A:はい、それを痛感しています。せっかくバランスを整えても、また無茶を続けていればすぐバランスは崩れます。綱引きのようなものだと自分では捉えています。自分の中の綱引きを自分で監視し管理する。管理方法は人それぞれに合ったものを見つける、ということになるでしょうか。
◆倒れてから受診するか、倒れる前に対処するか
A:また、日本は万が一病気になっても国民皆保険制度によって気軽に受診ができます。無茶して倒れても病院が助けてくれるという素晴らしい制度です。
しかし、どうせなら倒れないほうがよいと思うのです。倒れてしまうと、医療費がかかるだけでなく、仕事ができない、家事や育児を誰かに頼まなければいけない、など追加の負担がのしかかります。だから、その直前でなんとか留まりたい。私は育児の経験をしてきた中で、母親が倒れることはできないという緊迫感が常にありました。だから、倒れてから病院に行くより、倒れないようにそれぞれの方法で日頃から手入れしておければと思っています。
◆治療の先に見つけたもの―まさかの…
Y:私もそう思いますし、鍼灸は「ふさわしい死」を迎えるお手伝いができる、その可能性を感じています。私の一人相撲になってはいけませんが。それはそれとして、「倒れる前に日頃から対処する」方がよいとの考えを持つに至ったAさんですが、今後はどのように生きていきたいと思いますか。
A:憧れの仕事に挑戦したいと思っています。
井上系経絡治療という治療法によって私のQOL(Quality of Life、生活の質)が大きく向上したと実感しています。体が弱いからあらゆることをセーブしながら生きていかなければならない、と思っていましたが、今後は積極的に自分のやりたいことに挑戦したいと思えるようになりました。
また、これからさらに進む高齢化社会や様々な疾患で苦しむ方々の問題解決法の一つとしても、この経絡治療は役に立つものと信じていますし、苦しんでいる人たちに少しでもなんらかのお手伝いができたらいいなと思っています。
ですので、吉岡先生の背中を追って鍼灸師になることにしました。周りには心配されましたが、吉岡先生のなさっていることを自分でもできるようになりたい、理解したい、そして私も困っている方の力になりたいという気持ちが大きく勝り、決断しました。事前に先生にもご相談し、年齢は心配しなくてよいと背中を押していただきました。そこが一番の気がかりでしたので。
Y:なんと言いますか、おめでとうございます。そして、ともに頑張りましょう。心は決まっても、行動できるかはご自身の判断だけではできないこともありますから。まずは無限の広野にその一歩をふみ入れられたことを心よりお祝い申し上げる次第です。
A:ありがとうございます。初めて吉岡先生の施術を受けたときの感動は今もまったく色褪せずに心の中に残っていて、これからも私に推進力を与えてくれると思います。無限の広野を歩く中で道を見失いそうになったときには、この感動が導いてくれるはずです。
Y:治療を受け持つ者として、患者さんがよくなることはとてもよろこばしいことです。それとは別に、自分がよいと思っているこの鍼灸を、その人なりによいと感じ、同じように志す人が現れることのよろこびは、言い現しようがありません。
振り返れば20年以上のお付き合いですね。これからは同じ立場になりますが、引き続きよろしくお願いします。
今日はありがとうございました。
A:こちらこそありがとうございました。
◆2025/04/05 79歳男性
■住所
栄区
■初診日
2023/06
■主訴
なんとなく元気がない、整えようと思い
■声
隣の内科クリニックに通院しているので、こちらは以前から知っておりました。ある時から「はり・きゅう」もするようになったことがわかり、経験がなかったものですから、いちどお願いしたいと思っておりました。あるとき、「なんとなく元気がない」日が続きましたので、月に一度の内科の通院後にとびこみでお願いすることにしました。予約制ということで少し待つことになりましたが、治療していただけました。
吉岡先生には具体的にどう元気がないのか、ほかに困っていること、食事、睡眠、大小便のことなど矢継ぎ早に細かくたずねられましたが、はっきり「何かを治したい」と思って来ていない私としましては、そこまで問われてしまうと、お願いする理由がなくなってしまうような、非常に漠然とした動機でしたので、いささか困りました。そう正直に答えますと、すぐさま笑顔で「では体調を整えるということで承ります」との返答をちょうだいし、うまく言い表せない思いをわかってもらえた安堵といいますか、ほっとしたような、救われたような、そのような気分でした。
治療は、想像とはまったくちがっておりました。そう説明されはしたものの、鍼はいつしているのかわかりません。灸しかしていないように感じますが、総じて気持ちがよいと言えます。一通り終わってベッドから体を起こす時には体が軽くなっているとはっきりと感じますし、帰り道は足の運びもしっかりします。
治療後は、しばらく調子がよく、元気に過ごせますので、それからは不定期ではありますが、「整えよう」と思い立ったら予約をして、「整えて」いただいております。
◆2025/03/22 81歳女性
■住所
戸塚区
■初診日
2021/03/08
■主訴
心穏やかに年相応に過ごせるように(気分が落ち込みやすい、ふらつきや胃の不調など様々あり)
■声
いつもたくさん話を聞いてくださり、ありがとうございます。毎回、おかげで元気になります。
日頃は人の話を聞くばかりで、また話す気にほとんどならないのですが、吉岡先生と相対すると本当に不思議、湧き出すように言葉があふれてきます。気分が落ち込んでいる時でも、なぜか口をついて出てくるものですから、それだけで治療していただいているように感じています。先生は、誰とでも同じように笑顔でお話をするわけではなく、患者さんに合わせて応対されているそうで、必要なことを聞いたら黙って治療を終えることもあるということには驚きます。それくらいよくお話ししてくださいますから。
治療中もほとんど話しっぱなしですが、途中から治療自体の効果も感じ始めます。体がなんとなくあたたかく感じ、穏やかな気分になり、ゆったりと息ができるようになります。帰る頃には少し眠気もありつつ、目はぱちっとはっきりする、背筋もシャキッと、だいたいそんな具合です。
家事や仕事が立て込んで疲れてくると全体に不調になりますが、週に一回お会いしているので、寝込むようなことはなく過ごせています。
こうやって、これからも心穏やかに過ごせていけたらと思っています。
◆2025/03/22 50歳女性
■住所
栄区
■初診日
2025/02/28
■主訴
吐き気を伴う背中の腫れと激痛(亡くなった身内が乗っかっている?)
■声
知り合いの紹介で治療をお願いすることにしましたが、決めるまでにずいぶん迷いました。なぜなら、その理由がちょっと人には言えないようなことだったからです。以前にも同じような背中の激痛が出たことがあり、身内が亡くなった直後から背中の激痛が一年半ほど続いたのです。今回も同じ状況だったので、そうに違いないと確信し、我慢していたのですが、しかし、前回よりもさらにひどくてとても耐えられないので、とにかくなんとかならないかと、事情は言わずに診察してもらいました。
私自身、カイロプラクティックと鍼灸のどちらが適しているのかわからず、数日前からただひどい腫れと激痛、それに伴う吐き気があるから、とにかく少しでも軽くして欲しいとだけ伝えました。
吉岡先生は、すぐに答えを出さず、きっかけや痛み以外のこと、家庭と仕事の環境などを確認しました。当初は、長い看病の末に身内が亡くなった後ということだけを伝えていましたので、「心身の疲労が一気に出たのだろうから鍼灸がよいと思うが、カイロプラクティックを希望であればそちらでも対応できる」との見解でした。が、「これを言っていいのかわからないけれど、以前にも身内が亡くなった時に同じことがあって、それも単にストレスとか疲労の蓄積で出たような感じがしない」と伝えると、一気に話は変わりました。「それはつまり乗っているということですか?」と。私自身、いわゆる霊感があるわけではありませんが、きっとそうだと感じていること、また以前も同じで、亡くなった二人は現世にかなりの未練があったことも正直に話しました。こんなこと、病院では言えませんし、だからといって、こちらも同じではと思っていましたから、勇気がいりました。即座に「それならば鍼灸ですね」と言われました。先生も霊感があるわけではないそうですが、やはり身内が亡くなった時に、変な頭痛や倦怠感を味わったことが何度かあるそうで、事情はすぐにわかってくださいました。
原因となっている「外部」がなんであれ、それが「見えない何か」であっても、すべて「受け手の問題」であること、そうした観点からの治療に最適なのは鍼灸になる。実際に、私と同じような方だけでなく、「見えない何か」と応対できる方も診ることもあるとのことで、「受け手の体調が悪い」と症状が悪化したり、悪い何かが寄ってきたりするそうです。これには納得できましたので、鍼灸でお願いすることにしました。
先生は、「これまでの消耗もあるから、すぐに変化があるか確信がないけれどもやってみましょう」とおっしゃいましたが、脈診して手に鍼をあてた途端に、スッと軽くなるではありませんか(患部に、それも刺すものとばかり思っていましたから半信半疑もいいところでした)。一通り終わる頃には、完全になくなっていました。嘘のようですが。そして、この結果からやはり「乗っている」ことは疑いようがなく、また「乗る側は乗られる側に対して加減ができないようである」こと、すべて「受け手の問題」になることが私にもはっきりとわかりました。
一ヶ月経っても、まったく症状がぶり返すことがないので、亡くなった身内をちゃんと背負えているのでしょう。
本当に助かりました。
◆2025/02/09 82歳男性
■住所
鎌倉市
■初診日
2024/08/05
■主訴
夏バテ(膨満感、吐き気、食欲不振、めまい、寝汗)
■声(家族代筆)
夏に熱中症になりかけたのか具合が悪くなり、その日の夜は吐き気で苦しんだとのこと。
翌日から食事があまりとれなくなり、2週間ほどしても回復せずげっそりと痩せてきたため、治療をお願いしました。治療直後はそれほどの変化はなかったものの、夜には食欲がほぼ戻り、一回の治療で解決していただけました。痛くも熱くもない治療がとても楽だったようですし、あまりにもよく効いたので、同じく高齢の知り合いにも鍼灸治療を勧めていました。
◆2025/02/08 75歳男性
■住所
ニューヨーク
■初診日
2024/11/09
■主訴
原因不明の高血圧、耳鳴
■声(家族代筆)
5年前にガンを患いホルモン治療をしてましたが、途中からめまいや息切れなどの不調に見舞われ、中断していました。それでもなかなか復調せず、ごまかしながら過ごしていました。
一昨年には、普段は血圧低めにも関わらず、血圧が急に上がって救急外来を受診。しかし原因は不明でした。その後、たびたび血圧の急な上がり下がりによる不調に悩まされています。
さらに5月には耳鳴りのせいで音が安定して聴こえなくなっていました。補聴器も思ったほどの効果がなかったため、購入にはいたらなかったとのこと。また薬も処方されましたが、耳鳴りが消えることはなかったそうです。
音楽家である叔父にとって、音が安定して聴こえないということは仕事ができないということで、気持ちも落ち込んでいたようでした。
海外に在住しているのですが、来日した際に「お願いだから一度治療を受けてみて」と説得して吉岡先生のところに連れて行きました。
帰国する前日のたった一度の治療でしたが、吉岡先生がお見事な治療をしてくださり、翌日フライト前の叔父からは次のようなメールが届きました。
「今日は体がだいぶ楽な感じと耳鳴りもだいぶおさまってます。これで無事帰れると思います。先生にもよろしくお伝えください下さい。」
さらに帰国後にはこのようなメールも。
「今はまだ長旅の疲れはあるけど、少しゆっくり休めば問題ないと思います。この間の状態から考えるとこれは奇跡的な事です。本当にありがとう。」
過去に鍼治療で2回失神したことがあったから、僕は鍼はしないよ、と言っていた叔父でしたが、一歩を踏み出してくれたおかげで結果的にこんなに回復できたこと、また音楽と共に生きてきた叔父の聴覚が回復したことに、本当に心から嬉しくなりました。
このような素晴らしい治療法があることを教えてくださった吉岡先生に、深く感謝しております。 |