58歳・男性・会社員 
 ○発症時期:2003年2月中旬より

 ○来院までの経過:職場での人間関係がうまくいかず、それが大きなストレスとなっていた。定年まであと少しということで、我慢をしていたが、体は正直のようで左右の手の甲に湿疹が出だす。鍼灸が良いと聞き及んでいたこともあり、当院へ来院する。

 ○原因:職場での過度のストレス
 ○その他の所見
・飲 食:
味がわかりにくい。脂っこいものが苦手。食後胃がむかつく。
・大小便:
下痢が多い。小便の回数は多いが、量が少ない。夜間尿3回。
・睡 眠:
眠りが浅い。寝た気がしない。いやな夢をよく見る。

・生 理:

 

・その他:

足が冷える。
 ○治療開始時期・頻度:2003年2月下旬より開始。週1回。
 ○治療経過:初めの1ヶ月は、症状の出始めということもあり湿疹の面積は少しずつ大きくなるが、ジクジクした感じは軽くなる。梅雨を迎えると、季節の影響で多少ひどくなるが月を追うごとにきれいになっていく。1年が経つ頃には、左手の方は完全によくなり、多少遅れて右手が完治する。

《右手》



《左手》



 ○現在の状況:が湿疹の跡もなく、今のところ再発はない。
・飲 食:
脂っこいものが苦手。調子が悪い時や嫌なことがあった日は、食後胃がむかつく。
・大小便:
たまに下痢する程度。小便の回数は多いが、量が少ない。夜間尿1回〜無いときもある。
・睡 眠:
以前よりよく寝られている。たまに夢を見る程度。

・生 理:

 

・その他:

足が冷える。
 ○治療者からコメント:この方の場合は、職場でのストレスのみだったということもあり早く良くなったのだと思います。ところで、左右共にに症状がある場合はおおむね左の方が治りが早い物なんです。というのは、成長痛の症例でも少し触れましたが、陰陽(「陰-内-深-右-静」⇔「陽-外-浅-左-動」)的な観点からすると、病の浅く動きやすい左の方が治りやすいと推測できるんです。ものは言いようという感じもするでしょうけれど、ちょっとした言葉遊びのようなことをしながら診察をしていくんです。この方も、健康管理と湿疹の予防をかねて治療を継続中です。

 

 

47歳・男性・自営業
 ○発症時期:2001年2月下旬より

 ○来院までの経過:自営業ということで日々のストレスが多く、長年に渡る無理がたたり左足の甲に小さい湿疹が発症する。1ヶ月前もたたぬうちにからたえられないほどひどかった。もともとお酒もよく飲むことも重なり、急に右膝の裏に湿疹が出た。1ヶ月も経たないうちに甲全体に広がり出したため、皮膚科に行く。ストレスによるアトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド剤を処方されるが、薬の副作用を懸念して使用をしなかった。4月上旬まで様子をみていたが、ひどくなる一方なので当院に来院することになる。

 ○原因:仕事のストレス、長年の無理、飲酒
 ○その他の所見
・飲 食:
脂っこいものや味の濃い物、冷たいものを好む。毎晩お酒を多量に飲む。
・大小便:
下痢と便秘を繰り返す。夜間尿3回。
・睡 眠:
眠りが浅い。夢をよく見る。

・生 理:

 

・その他:

足が冷える。よくイライラする。 

 ○治療開始時期・頻度:2001年4月上旬より開始。週1回。
 ○治療経過:治療を開始して初めの3ヶ月は足先に向けて湿疹広がりを見せるものの、ジクジクした感じは少しずつ落ち着いてくる。8月に入り相当落ち着いたものの、9月に入り季節の影響もあり症状が進行し出す。今度は、足先が治り足首へ向かって湿疹が広がり出す。ただ、思ったよりはひどくならず、湿疹は徐々に乾燥しきれいになりつつ1年を迎える。ここで安心をしたのか、少し無理をするようになり、2年目の秋にまた悪化する。地道な治療を重ね、2年が経つ頃には相当よくなる。





 ○現在の状況:湿疹後特有の色素沈着もなく、きれいになる。
 ○その他の所見
・飲 食:
薄味でも大丈夫になる。毎晩のお酒の量は減った。
・大小便:
下痢をすることがたまにある。夜間尿1回。
・睡 眠:
よく寝られることが多い。夢はあまりみなくなる。

・生 理:

 

・その他:

足が冷える。気持ちにゆとりが出た。 

 ○治療者からのコメント:症状が足の甲に限定されていたこともあり、比較的早くよくなった例です。ただ、途中で気を抜いて無理をしてしまい悪化してしまいました。不摂生やストレスは、すでになにかの形で症状が出ている場合は、すぐに症状の悪化を招きます。患者さんは、これにこりてより養生をするようになりました。現在も体調管理のために治療を継続中です。やはり、治療もさることながら本人の養生が一番大切なんです。ところで、長年の不摂生・ストレスが蓄積された結果としての病気は、おおむね難病であることが多いです。特に最近は、積もり積もったストレスによる皮膚炎や花粉症、最悪の場合はガンの発症というケースが後を絶ちません。ですから、日頃から週末は少し汗を流したり、好きなことをしたり、あるいは健康維持のために鍼灸治療をするという具合に、体の手入れを心がけてください、病気になっては損ですから。“転ばぬ先の杖”ですね。

 

 

35歳・男性・会社員 
 ○発症時期:1997年2月初旬より

 ○来院までの経過:職場でのストレスが多く、発症する数ヶ月前からたえられないほどひどかった。もともとお酒もよく飲むことも重なり、急に右膝の裏に湿疹が出た。1ヶ月も経たないうちに肘や膝の関節部や手足の甲、耳たぶなどにジクジクした湿疹が出だし、仕方なく皮膚科に行く。アトピー性皮膚炎と診断され、ステロイド剤を処方される。薬を使うとしばらくはよかったが、効き目がなくなり使用を中止。以来、4年間どこかが治れば次はどこというふうに治ることなく過ごす。特に春(2〜4月)と梅雨、秋(8〜10月)はひどい。

 ○原因:職場での過度のストレスと多量の飲酒
 ○その他の所見
・飲 食:
味の濃い物を好むが、脂っこいものはダメ。朝食は胃がむかつくためにとらない。お酒を毎晩多量に飲む。
・大小便:
下痢が多い。夜間尿2回。
・睡 眠:
眠りが浅い。

・生 理:

 

・その他:

足が冷える。左脇腹がよく痛む。 
 ○治療開始時期・頻度:2001年10月より開始。症状が年中あるため、症状が落ち着きだすまでの8ヶ月間は週2回とした。以降は週1回。
 ○治療経過:膝の裏が湿疹の大きさ痒さともに最もひどく、汁が出てジクジクした感じがなかなかとれなかった。5月の連休をすぎた頃には乾いてきた。この間、手や足の甲などに小さな湿疹があちらこちらにできては治りということをくりかえす。1年が経つと、昨年よりも湿疹の数が減り、一番ひどかった膝の裏もかなりきれいになる。2003年は、春・秋に小さな湿疹がでるものの次の季節になると消えるようになる(年中湿疹があったものが特定の季節のみに)。2004年3月現在は、右手に1箇所でるのみとなり、今も予防と体調管理のために治療を継続中。