◇待合室◇

▼当院の治療方針
◎親切・丁寧を第一とする
◎治療を旨とし、慰安を旨とせず
◎浅い鍼=
痛くない鍼 知熱灸・糸状灸=熱くないお灸
◎中国医学的観点からの治療(古典的な鍼灸施術、陰陽・五行による身体の把握・いわゆる全身治療)

◆基本方針
1.鍼灸専門であること世間には迷うほどに種々の治療法が存在します。その中で私は鍼灸を選択し、その専門家として治療しています。同じ体を診て治療するのだから、あれとこれとを併用すればさらに効果があがるはずだしそうするべきだ、と多くの方は思うでしょう。もっともらしい見解ですが、はたしてそれは首肯されうるものなのでしょうか。ちょっと考えてみて下さい。なぜこれほどの治療法が存在するのか、なぜ一つでないのかを。いずれがよいかは別にして、それらは個々に特定の必要性のもとに独自の観点を持って生じてきた“独立した治療法”なのです。ですから、“それぞれのよいところを持ち寄ってその人に合った治療をする”、というフレーズは聞こえはよいですが、それは個々の観点や成り立ちを無視した粗暴な方法であることを意味します。そんな理屈を抜きにしても、専門家であることは、それについては特化しているわけで、逆に折衷的に多種の治療法を駆使する治療家は、いきおい専門性を欠くことになります(プロ野球選手が同時にプロのサッカー選手には成り得ないのと同じです)。それに、鍼灸一つとっても、それ自体に多くの問題や課題を内包していますから、それらの解決のためには鍼灸そのものを深く掘り下げていかなくてはなりません。ですから、真にそれを実践していこうとするならば、他の治療法を学ぶどころではありません。これらが、鍼灸専門であることの大きな理由です。
2.中国医学的観点からの診察と治療を行うことさて、鍼灸専門というだけではまだ足りません。現在の鍼灸治療には大きく分けて二つの系列が存在します。一つは現代医学の身体認識を土台にしたその名も現代医学的鍼灸です。今一つは中国医学の認識に基づく古典的鍼灸です。私は、後者の古典的鍼灸の立場を取っています。というのも、医学のことは医師が、鍼灸のことは鍼灸師がするべきであるというしごく当たり前の考えによります。ちまたでは、鍼灸は現代医学での難症に対応することができるとしばしば言われますが、現状は医学的身体認識を土台とした鍼灸がその大半を占めているのです(WHO世界保健機関をはじめ、我が国の教育機関などが推進する鍼灸は、みなこれにあたります)。だれもがすぐに気づくことですが、そういった立場からの治療では期待される治療効果は望むべくもありません。
しつこいようですが、中国医学の身体認識と現代医学のそれとは、それぞれ全く異なる身体観、生理観、病理観を基礎に持ち、かつ治療方法も大いに違っているために、折衷はできても融合することは不可能です。それは、現代医学が今も中国医学の完全な土台と成り得ていないことからも明らかでしょう。現代医学は、現在の鍼灸にとっての補助的な医学にしか過ぎないのです(逆もまた同じです)。後に詳しく述べますが、病名(現代医学の診断)はあくまでも参考になるのみで、私たちは新たに中国医学の立場からの診断をしていかなくては治療ができないのです(適応疾患をHPに掲載しているのは、現代医学の病名が一般的であり、一つの目安になるからです。例え同じ病名(アトピーなど)でも人が違えば中国医学的には状態が全く異なってきますので、そういった意味でも病名治療は不可能です)。
こういった理由から、肩が痛ければその部分の筋肉や神経の問題として捉え、そこに鍼を刺して電気を流すというような整形外科的な観点からの治療は、当院では一切いたしません。必ず、肩を痛ましめている体の状態(五蔵の変調)を中国医学的観点から診察し、治療していきます。
3.古典的な鍼灸施術古典的鍼灸と言っても、これもまたいくつか種類があります。おおまかに分類すれば二つの系列があり、1930〜40年代に日本で形成された経絡治療と、それに遅れて1950年代以降に中国で形成された中医鍼灸になります。私たちは、経絡治療(井上派と岡部派)の中のいわゆる井上派の系列に属しています。経絡治療は、近代化のもたらした新たな病態(当時の最たるものは結核でしたが、現在は皮膚や呼吸器、精神の不調など多岐にわたります)のための必要性に応じて、古典的な要素を土台にして考案された治療体系です。その具体的な方法は、症状ではなく、病の大本である五蔵の変調を診察及び治療の対象として、中国医学の伝統的かつ最も重要な診察法である脈診を軸に、手足の要穴 (重要なツボ)を主な治療の場とし、全身的な治療を行います。また、撚鍼という気を調えるためのもっとも合理的な古来からの刺法を行います。
◆自然治癒力の重視
鍼灸治療の骨子は、五蔵と称される身体内部機構の不調和を是正していくことにあります。もちろん、個々の症状に対しても直接的に施術を行った方がよい場合もありますが、そういった時にもやはり全身的な状態判断に沿ったかたちで治療していきます。自然治癒力とは、人の持つ回復していく力のことですが、私たちの意図する五蔵の調和、内部システムの正常化は、それを助けることにほかならないのです。医女チャングムがしきりと王様に「病気を治すのは医務官ではなく王様ご自身です」と言うのはこのためです。治療とは、ご自身が自らのために治療を重ねていくことであり、それを継続していく根気こそが最も重要なのです。それなくしては、たとえどんなによい治療があったとしても、「事倍功半(事倍にして功半ばす)」というものです。 
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