29歳・女性・会社員

 ○主な症状:逆子
 ○発症時期:2004年12月上旬より(姙娠7ヶ月目)

 ○来院までの経過:婦人科にて逆子と診断され、鍼灸で治ると勧められ来院。

 ○その他の所見
・飲 食:
辛いものが好き 
・大小便:
妊娠してから便は、3日に1回。小水は回数多く、量は少ない。
・睡 眠:
職場が遠く忙しいい関係で、寝る時間が遅く、朝早い。しかし快眠。

・生 理:

 

・その他:

毎日1時間以上電車に揺られて出勤する。 
 ○治療開始時期・頻度:2004年12月上旬より開始。週1回。3回の治療で終了。
 ○治療経過:治療を開始した時期が逆子の戻る確率の最も高い7ヶ月目だったため、週1回で計3回の治療でもとに戻った。ただ、この方は仕事が忙しく睡眠時間が少ないため、姙娠10ヶ月目に見られるような脈の状態を示しており、早産の可能性も予想された。できる限り、行き帰りの電車は座ることと、睡眠時間を多くとることを注意し治療を終了した。
 ○治療者からのコメント:姙娠8ヶ月、9ヶ月ともなるとどんどん元に戻る確率が低くなるため、それだけ治療の間隔は短く、かつ回数を重ねる必要が出てくるので、逆子と診断された場合は、早めの治療をお勧めします。

 

16歳・男性・バスケット選手

 ○主な症状:両膝の痛み(右の方がより痛む、いわゆる成長痛、現代医学では原因不明)
 ○発症時期:2001年3月中旬より

 ○来院までの経過:バスケットの練習中に痛みが出だす。整形外科で成長痛と言われ、様子を見るようにと言われる。痛みはそうひどくなかったため、半年ほどそのままにしておいたが、がまんできないほど痛くなってきたため来院。

 ○原因:練習のしすぎ
 ○その他の所見
・飲 食:
 
・大小便:
順調
・睡 眠:
快眠

・生 理:

 

・その他:

 
 ○治療開始時期・頻度:2001年9月上旬より開始。週1回。翌年6月上旬に完治し治療終了。
 ○治療経過:飲食・大小便・睡眠などいずれも顕著な問題はみられず、痛みがひどい時は練習を休むなどして膝の使用を控えれば早い時期によくなると判断した。スポーツ選手の場合は、練習を完全に休むか、ある程度練習をおとして様子をみていくかという問題がつきまとう。治療を開始して1ヶ月もたたないうちに走れるほどに回復したため、後者を選択することとなった。鍼灸の治療は、運動器疾患であろうが内科的な疾患であろうがその種類に関係なく、いわゆる全身治療をする。必要と判断した場合のみ補助的に患部への施術もすることになる。今回の場合は、膝の曲げ伸ばしの時に痛みがでるため、運動鍼といわれる方法も用いた。2ヶ月が経つ頃には、普通に練習をすると痛みが出るというほどになったため、普通に練習をしてもよいとした。治療の回数を重ねるごとに、練習後の膝の痛みは軽くなっていったがなかなか完治はしなかった。年が変わり発症してちょうど1年が経つ頃になると膝の痛みのウエイトが右から左に移った。それからさらに続けること3ヶ月、練習後もまったく痛みを感じなくなったので治療を終了した。その後、数ヶ月間で急に身長が17センチも伸びたそうで、成長期と治療の効用とがあいまった結果なのかもしれない。
 ○治療者からのコメント:治療を開始した時期が早ければ回復も早かったかも知れません。ところで、痛みのウエイトがが右から左に変わったこと=回復のきざしとして考えることができると思います。というのは、鍼灸では陰陽という概念も用いてあらゆる事を把握するわけでですが、「陰-内-深-右」⇔「陽-外-浅-左」というな角度から見ると、病気の状態が深いところから浅いところへ移ったとみることができるからなんです。こんなことと思うかも知れませんが、こういったことの積み重ねで体の状態を計っているんです。

 

53歳・女性・ピアノ教室の先生
 ○主な症状:弾発指 (バネ指ともいう、腱鞘炎の一つ)
 ○発症時期:2001年7月下旬より

 ○来院までの経過:ピアノのレッスン中に左手の親指の付け根に痛みが走る。2週間ほど湿布をするなどして様子を見ていたがいっこうに良くなる気配はなく、整形外科に行くと弾発指と診断され、手術をしないと治らないと言われる。手術は困るということで、当院に来院することに。

 ○原因:練習のしすぎ(発表会をひかえていたということもあり)
 ○その他の所見
・飲 食:
 
・大小便:
順調
・睡 眠:
快眠

・生 理:

 

・その他:

左肩から肩胛骨と背骨の間に堅い部分がある。 
 ○治療開始時期・頻度:2001年8月下旬より開始。週1回。11月中旬に完治し治療終了。
 ○治療経過:飲食・大小便・睡眠などいずれも顕著な問題はみられず、練習を休むなどして指の使用を控えれば比較的早い時期によくなると判断した。弾発指などの腱鞘炎の場合は、患部に施術をしてもさほど効果はあがらない。患部には一切触れず、いつも通りの全身を調整する治療を根気よく続ける。左手を極力使用せず、治療に専念した結果、3ヶ月で完治する。
 ○治療者からのコメント:現代医学では手術のみが有効手段とされる症例の一つです(手術をしても再発する可能性があるため、整形外科医は手術をあまりしたがらないようです)。今回の症例では、手以外の部分に大きな問題がなかったとこもあり、予想以上に早く治癒しました。本人の努力と早く治りたいという意志、治療があいまって得られた結果だと思います。

 

26歳・男性・会社員
 ○主な症状:腰椎椎間板ヘルニア (右腰から右ふくらはぎにかけてしびれる)
 ○発症時期:1995年12月下旬より

 ○来院までの経過:高校生の時に部活で腰を痛め、整形外科で腰椎椎間板ヘルニアと診断される。発症当初はブロック注射で痛みがやわらぎ、2週間程度で良くなる。疲労がたまってきたり、体を冷やした時に右腰から右のふともも・ふくらはぎにかけてしびれが出るものの、しばらく安静にしているとよくなるため、そのままにしておく。ある年の冬の朝、起きると急に右腰が痛み起きあがれなくなり、整形外科でブロック注射をしてもらう。しかし、以前のような効果は全く見られず2週間ほど寝込む経験をする。以来、毎年冬には必ず大なり小なり起きあがれなくなるほどの痛みが出るようになる。2001年の12月、同様に起きられなくなり、社会人になり会社を休むわけにはいかないため往診という形で治療を開始する。

 ○原因:部活(バトミントン部)、よく気を使う(ストレス)ことによる体の冷え(小便が出ない・冷たいものをたくさん取る)
 ○その他の所見
・飲 食:
味の濃い物・脂っこいもの・冷たいものをたくさん取る。
・大小便:
便秘気味。小便は、回数・量ともにすくない。→太るということにもつながります。
・睡 眠:
眠りが浅い。

・生 理:

 

・その他:

手足がほてる。暑がりで薄着でいることが多い(常に体を冷やしている)。なにもしていないのによく汗をかく。急性期は、腰に大量の汗をかく(汗をとめるだけでもかなり痛みは軽くなります)。 
 ○治療開始時期・頻度:2001年12月より開始。急性期だったので、最初の週は2回。以降は週1回。
 ○治療経過:治療する直前は寝返りも打てないほどであったが、左の手足のツボを4箇所に鍼をすると寝返りができるようになる。うつぶせにして肩〜腰にかけて鍼して腰から出ている汗をとめると、痛みはあるものの普通に動けるようになったので、その日の治療は終了する(時間は10分程度)。翌日も念のために治療をし、翌週にはすっかり良くなる。ただ、原因が食事やストレスにあり、そのために大小便の出が極端に悪くなっていたので、その改善をするために治療を継続する。2ヶ月ほど続けると、本人の節制と季節的な助けもあり、自然に汗がでることが少なくなり大小便の出もよくなる。半年経つ頃には、手足のほてりもさほど感じなくなる。1年後、痛みがでる時期を迎えても痛みがでることはなかった。今のところ、起きあがれなくなるような腰の痛みは一切出ていない。現在も、健康管理のために治療を継続中。
 ○治療者からのコメント:急性の症状に対しては比較的早く効果がでるものなので、発症してすぐだったということがより早い回復の決め手となりました。これは、ぎっくり腰やかぜ、インフルエンザといった急に症状がでるものにはすべてあてはまります。ところで、この方は普段より体を冷やすような服装や冷たいものの摂取をしていることにより、小便の量の低下や便秘が起こり、ひいては腰の痛みが出るという状態になっていました。こういった場合は、腰そのものの治療ではなく大小便の出をよくすることが治療の基本となります。本人もこのことを十分理解し、体を冷やさぬよう気をつけていることもあって状態の変化も早かったです。腰痛は、腰の問題でないことが多いんです、本当に。