壱百六拾五

 「私たちはずっと、とても淋しいけどふわふわして楽なところにいた。死はあんまり重いから、本当はそんなこと知らないはずの若い私たちはそうするしかなかったの。・・・今より後は、私といると苦しいことや面倒くさいことや汚いことも見てしまうかもしれないけれど、雄一さえもしよければ、二人してもっと大変で、もっと明るいところへ行こう。」 『キッチン』